毎朝のルール、毎週の飲み忘れ、胃の心配。飲み薬がどうしても合わないときでも、治療をあきらめる必要はありません。年に1回の点滴という方法もあります。
外来で、申し訳なさそうにこう切り出された方がいました。
「先生、正直に言います。あの飲み薬、どうしても続かないんです。胃も弱いですし……私、治療に向いていないんでしょうか」
そんなことはありません。合っていないのは、そのタイプのお薬のほうかもしれません。骨を守るお薬の代表であるビスフォスフォネートには、飲み薬のほかに注射や点滴のタイプがあり、なかには年に1回の点滴で済むものもあります。
「年に1回、病院でゆっくり30分」。そんな骨の守り方もあります。
年1回の点滴とは
年1回の点滴タイプは、腕の血管から30分ほどかけてお薬を入れます。朝の空腹ルールも毎週の飲み忘れの心配もなく、胃や食道への負担も気にせずに済みます。
点滴にも注意点はあります。最初の点滴のあとに熱っぽさや筋肉痛が出ることがあり、腎臓の働きも確認しておく必要があります。こうした点も含めて、タイプごとの違いは次の記事にまとめました。
📖 ビスフォスフォネート — いちばん歴史のある骨を守るお薬
「1年に1回」を忘れないために
「年1回だと、かえって忘れそう」と言われることもあります。毎朝のことは体が覚えてくれますが、年に1回のことはカレンダーに覚えてもらうほうが確実です。私は、点滴を受けたその日に、次の年の予約か連絡の約束まで決めてしまうことをおすすめしています。誕生日や健康診断など、毎年必ずある行事とセットにして覚える方法もあります。
治療が続かない理由の多くは、意志の弱さより、生活との相性にあります。相性なら、お薬のタイプを変えることで合わせられます。
続かないときは、やめてしまう前に、続けられる形に変える相談をしてください。いつ持ちかけてもかまいません。
今日できること
もし今、飲み薬がつらいと感じているなら、次の診察で「飲み薬以外のタイプはありますか」と聞いてみてください。
選べるお薬は、思っているより多くあります。次回は、「女性ホルモンに似たお薬があるって、本当?」というお話をします。
この連載は一般的な情報提供を目的としたものです。診断や治療については、必ず主治医にご相談ください。
監修:加藤裕幸(整形外科専門医/東海大学医学部 医学教育学 教授)