SERM(サーム)— 女性ホルモンに似た働きで、骨を守るお薬|骨活ガイド
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SERM(サーム)— 女性ホルモンに似た働きで、骨を守るお薬

閉経後の骨を、女性ホルモンに似た働きで守るSERM。1日1回の飲みやすいお薬の特徴と、血栓への大切な注意点を解説します。

「女性ホルモンが減ると骨が弱くなる。それなら、ホルモンに似た働きで骨を守れないだろうか」——そんな発想から生まれたのが、SERM(サーム/選択的エストロゲン受容体モジュレーター)というお薬です。1日1回の飲み薬で、飲む時間の細かい決まりがなく、閉経後の女性の骨を守る選択肢として広く使われています。この記事では、SERMがどんなお薬か、どんな方に向いていて、どんなことに気をつければよいか、わかりやすくお伝えします。

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このページでわかること

  • SERMが「選択的」と呼ばれる仕組みがわかります
  • 日本で使える2つのSERMと、飲み方がわかります
  • 気をつけたい副作用(とくに血栓)と、日常での注意点がわかります
  • どんな方に向いているお薬なのか、イメージできます
  • ホルモン補充療法(HRT)との違いがわかります
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SERMってどんなお薬?

女性ホルモン(エストロゲン)は、骨が壊されすぎないよう見張る「骨の守り役」でもあります。閉経でエストロゲンが減ると、この守りが手薄になり、骨が壊されるスピードが速まってしまいます。

SERMは、骨においてはエストロゲンと似た働きをして、骨が壊されるのをおさえるお薬です。

ここで大切なのが「選択的」という言葉です。エストロゲンは骨だけでなく、乳房や子宮にも作用します。SERMは、いわば「骨の鍵穴にだけ合うように調整された合鍵」。骨では守り役として働く一方、乳房や子宮ではエストロゲンのようには働かない設計になっています。

家にたとえるなら、家中の部屋を開けられるマスターキーではなく、「骨の部屋」だけを開ける専用の鍵を使うイメージです。

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日本で使えるSERM

日本で骨粗鬆症の治療に使われているSERMは、主に次の2つです。

一般名 主な商品名 飲み方
ラロキシフェン エビスタ 1日1回1錠
バゼドキシフェン ビビアント 1日1回1錠

どちらも1日1回、時間を選ばず飲める錠剤です。食事の影響を受けにくく、朝でも夜でもかまいません。ビスフォスフォネートのような「朝いちばん・お水で・30分横にならない」といった細かいルールがないのは、続けやすさの面で大きな特徴です。

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SERMの良いところ

  • 背骨の骨折(椎体骨折)を防ぐ効果が、臨床試験で確認されています。 骨密度の改善はゆるやかですが、骨の「質」を保ちながら骨折を防ぐと考えられています
  • 飲み方が簡単です。 1日1回、時間指定なし。飲み忘れに気づいたら、その日のうちに飲めば大丈夫です
  • 長期間使いやすいお薬です。 顎骨壊死や非定型骨折といった、骨吸収抑制薬で話題になる長期使用の心配が比較的少ないとされています
  • 比較的若い閉経後の方に使いやすいとされ、治療の「最初の一歩」として選ばれることも多いお薬です

2025年ガイドラインでも、SERMは椎体骨折の予防に関するエビデンスが評価されています。

どのお薬から始めるかは、骨密度・骨折歴・年齢・他の病気などをもとに、主治医が総合的に判断します。

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知っておきたい注意点

血栓(けっせん)への注意(いちばん大切なポイントです)

SERMでもっとも注意したいのは、静脈血栓塞栓症(じょうみゃくけっせんそくせんしょう)——足の深い静脈などに血のかたまりができ、それが肺に飛ぶことがある病気です。頻度は高くありませんが、エストロゲンに似た働きを持つお薬に共通するリスクです。

  • 過去に血栓症を起こしたことがある方は、原則としてSERMを使えません
  • 長期間ベッドで安静にする予定があるとき(手術の前後など)は、一時的にお薬を休むことがあります。手術や入院の予定が決まったら、必ず主治医に「SERMを飲んでいます」と伝えてください
  • ふくらはぎの痛み・腫れ、急な息切れや胸の痛みが現れたら、すぐに受診してください

そのほかの副作用

  • ほてり・のぼせ: 更年期症状に似たほてりが出る、または強まることがあります
  • 足のつり(こむら返り): 報告されることのある症状です。続くようなら主治医に相談を

使えない方

  • 妊娠の可能性がある方・閉経前の方には使いません
  • 男性の骨粗鬆症には使われません
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どんな方に向いているの?

SERMは、閉経後それほど年数が経っていない、骨折リスクが中等度の女性で選ばれることの多いお薬です。たとえば「骨密度が下がってきたが、まだ骨折はしていない」「これから長く骨を守る治療を始めたい」という場面です。

一方、すでに骨折を繰り返している方や骨密度が大きく低下している方には、より強力に骨密度を上げるお薬(注射のお薬や骨をつくるお薬)が優先されることがあります。

📖 治療全体の中での位置づけは、骨粗鬆症の治療 — お薬の種類と選び方もあわせてご覧ください。

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主治医への質問リスト

診察のときに、こんなふうに聞いてみましょう。

  • 「私の骨の状態だと、SERMは選択肢に入りますか?」
  • 「血栓のリスクについて、私の場合はどうですか?」
  • 「手術や長旅の予定があるとき、どうすればいいですか?」
  • 「このお薬は、どのくらいの期間続ける想定ですか?」
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まとめ

  • SERMは、女性ホルモンに似た働きで骨を守る、閉経後の女性のためのお薬です
  • 1日1回・時間指定なしの飲み薬で、続けやすいのが特徴です
  • 背骨の骨折を防ぐ効果が臨床試験で確認されています
  • いちばんの注意点は血栓症。血栓の既往がある方は使えず、長期安静の予定があるときは主治医に相談が必要です
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今日からできること

[!warning] お願い 現在処方されているお薬を、自己判断で変えたりやめたりしないでください。気になることがあれば、必ず主治医にご相談ください。

  • お薬手帳を確認してみましょう。 ご自分のお薬がSERMかどうか、名前を確かめてみてください
  • 手術や入院、長時間の移動の予定があれば、メモしておきましょう。 次の診察で主治医に伝えるためです
  • こまめな水分補給と、長く座ったままでいないこと。 血栓予防にもつながる、今日からできる習慣です
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よくある質問

Q. SERMはホルモン補充療法(HRT)と同じですか?

いいえ、別のものです。HRTはエストロゲンそのものを補う治療で、ほてりなどの更年期症状に効果があります。SERMはエストロゲンではなく、骨で似た働きをするお薬で、更年期症状には効果がなく、むしろほてりが出ることがあります。目的に応じて使い分けられます。

Q. 乳がんのリスクが下がると聞きましたが、本当ですか?

海外の大規模な研究で、ラロキシフェンを使用した方に浸潤性乳がんの発生が少なかったという報告があります。ただし、日本では乳がん予防を目的とした使用は承認されていません。骨粗鬆症の治療薬として使うなかで知られている知見、と理解してください。

Q. 何年くらい続けられるお薬ですか?

比較的長く続けやすいお薬とされており、数年単位で使用した臨床試験のデータがあります。実際の期間は骨密度の推移などを見ながら主治医が判断します。

Q. 飛行機での旅行は大丈夫ですか?

通常の旅行は問題ありませんが、長時間座ったままでいると血栓のリスクが高まります。機内ではこまめに足首を動かす・水分をとる・ときどき立ち上がるなどを心がけてください。心配な場合は事前に主治医にご相談を。

Q. ジェネリック医薬品はありますか?

ラロキシフェンにはジェネリック医薬品があります。費用が気になる方は、主治医や薬剤師に相談してみてください。

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参考文献

  • 日本骨粗鬆症学会・日本骨代謝学会・骨粗鬆症財団 編『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2025年版』ライフサイエンス出版
  • Ettinger B, et al. "Reduction of vertebral fracture risk in postmenopausal women with osteoporosis treated with raloxifene: results from a 3-year randomized clinical trial (MORE)." JAMA. 1999;282(7):637-645.
  • Silverman SL, et al. "Efficacy of bazedoxifene in reducing new vertebral fracture risk in postmenopausal women with osteoporosis: results from a 3-year, randomized, placebo-, and active-controlled clinical trial." J Bone Miner Res. 2008;23(12):1923-1934.
  • 骨粗鬆症財団「骨粗鬆症の治療について」https://www.jpof.or.jp

本記事の内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、特定の診断・治療を推奨するものではありません。骨の健康について気になることがあれば、主治医にご相談ください。

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医療監修

加藤裕幸整形外科医・医籍登録 409723号

東海大学医学部付属病院/湘陽かしわ台病院

最終更新:2026年7月10日

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