「骨の薬であごの骨が壊れる」——そんな記事を見て、こわくなってしまった。その不安、よくわかります。でも、正しく知れば、怖さはずっと小さくなります。
外来で、ときどき、こわばった表情でこう打ち明けられます。
「先生、インターネットで見たんです。骨のお薬で、あごの骨が壊れることがあるって……。私、飲み続けて大丈夫なんでしょうか」
夜中にスマホで調べて、不安で眠れなくなる。お気持ち、本当によくわかります。だからこそ、医師として、いちばん大切なことを最初にお伝えさせてください。
その副作用は確かにあります。でも、とてもまれです。そして——お薬をやめて骨折してしまうリスクのほうが、はるかに大きいのです。
副作用を知ることは大切。でも、もっと大切なのは「知ったうえで、正しく続ける」ことです。
「まれ」とは、どのくらいか
心配されている「あごの骨の副作用」は、骨粗鬆症の治療で使う量では、およそ10万人に数人〜十数人。飲み薬ではさらにまれです。
ここで気をつけたいのは——インターネットの怖い情報には、がん治療で使う、けた違いに多い量の話が混ざっていることがある、ということ。骨粗鬆症の治療とは、量も使い方もまったく違います。同じお薬の名前でも、別の話なのです。くわしい頻度や、もうひとつの「太ももの痛み」という大切なサインは、記事で正確にお伝えしています。
📖 骨吸収抑制薬のまれな副作用 — 顎骨壊死と非定型大腿骨骨折
怖さは「予防できる」と知ると、和らぐ
そして、この副作用には心強いことがあります。毎日のお口のケアと、定期的な歯科検診で、リスクを大きく減らせるのです。歯医者さんに「骨のお薬を使っています」と一言伝える。それだけで、ぐっと安心に近づきます。
副作用の情報は、「こわがるため」ではなく「正しく備えるため」のもの。備えられると分かれば、こわさは扱えるものに変わります。
いちばんのお願い
ひとつだけ、強くお願いがあります。こわくなっても、自己判断でお薬をやめないでください。
お薬をやめて骨折し、寝たきりにつながってしまう——それこそが、いちばん避けたいことです。不安なときは、やめる前に、まず主治医に「こわいんです」と話してください。お薬の種類を変えたり、見直したり、できることはたくさんあります。
今日できること
今日は、これだけ。
「こわい話を見たら、やめる前に、まず主治医に相談する」
そして、しばらく歯科検診に行っていなければ、予約をひとつ。次回は、「もう良くなったから、やめていい?」という、治療を続けることへの疑問にお答えします。
この連載は一般的な情報提供を目的としたものです。診断や治療については、必ず主治医にご相談ください。
監修:加藤裕幸(整形外科専門医/東海大学医学部 医学教育学 教授)